『たのしいふゆごもり』『もりのてがみ』「のうさぎのおはなしえほん」シリーズなど、多くの人に愛される数多くの名作絵本を書いた詩人・片山令子のベストエッセイ集。
各誌に寄稿した80年代からのエッセイ60本と6篇の詩が織りなす、美しい心象風景。生きていくことの切なさをあたたかく包み込んで、希望のひかりとしての言葉を紡ぎ続けた人、片山令子。絵本の言葉にこめられた、繊細な観察眼と深い思いが、いま、ここに。
装画「夜と百合」・各章扉絵 片山健
■著者
片山令子(かたやま・れいこ)
1949-2018。詩人。群馬県生まれ。夫である画家・片山健と共作したロングセラー『たのしいふゆごもり』『おつきさまこっちむいて』『もりのてがみ』「のうさぎのおはなしえほん」シリーズのほか、『ふしぎふしぎ』(絵・長新太)、『きんいろのとけい』(絵・柳生まち子)、『森にめぐるいのち』(写真・姉崎一馬)など多数の絵本のほか、物語や絵本の翻訳を手がける。また詩人として、詩集『贈りものについて』『夏のかんむり』『雪とケーキ』と詩画集『ブリキの音符』(絵・ささめやゆき)を著すほか、個人詩誌を発行し続けた。
■目次
I 石
惑星/十力の金剛石/水晶
詩 六つの石の音
II リボン
リボンのように/風の灯台/花巻には夜行で/コクテール/イギリスになってしまう/花のような服/豆の花 豆の莢/何の理由もなく/にぎやかな棲み家/人生のような花束
詩 訪れ
さあ、残っているのは楽しいことだけ/ぶたぶたくんとなかまたち/子どもと生きる贅沢な時間/お菓子の国のカスタード姫/お父さんは汽車に似ていた/手紙のこと冬のたのしみ/小さい種子から/おしえてあげるよ/たんぽぽは希望の花ささめやさんのパールグレー/あたらしい『ブリキの音符』/悲しみを残さなかったこと/柔らかくて深くて明るい/あれは詩の方法だった/鞄とコーヒー/邦先生の形/子どもと大人のメリーゴーランド
詩 歌のなかに
III 音
いっしょに歌う歌/おつきさま/マイナー・トーンを大切に/わたしの好きな歌「LET IT BE」/九番の曲/ジギー・スターダスト/風に吹かれて/バッハ「パルティータ第二番」/リパッティのワルツの泉/夏とラジオ/裸のオルゴール
詩 あたらしい雲
IV ひとり
クーヨンの質問にこたえて/本は窓に似ている/きれいな言葉をくりかえし聞く/本について/お父さんの中に透けて見える子供――『せきたんやのくまさん』/ほんとうのことを知っているキツネ――『星の王子さま』/天使の骨格/萩尾望都「ポーの一族」をめぐって
詩 ひかりのはこ
V ひかり
あたらしいノートへ/記憶の種子をついばみながら――なつかしい丘をのぼる/子供からの夢のほうこく/野菜といっしょに/広い世の中へ出かけて行く/太陽のように自分でひかる/リーフレットにそえて/(無題)/絵本のそばで/青空の本
詩 空の時間
リリック lyric――あとがき
写真・略歴
底本リスト
四六判/上製本/カバー装/本文224頁
出版社:港の人
港の人HPより